スケーリング機能を使う

スケーリング機能を使うと、本器で測定した電圧値を測定対象の物理量(電流や温度など)に換算して表示や記録ができます。

変換した値を、小数または指数で表示できます。

例: 傾き= 50、単位= A の場合

 

 

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1 スケーリングの表示方法を選択する

OFF

スケーリング機能を使用しません。

小数

換算値を小数で表示します。

指数

換算値を指数で表示します。

2 スケーリングの変換方法を選択する

変換比

入力信号の1 V当たりの物理量(変換比)とオフセットを設定します。

2点

入力信号の2点の電圧値とそれぞれの変換値を設定します。

感度

熱流センサーや日射計の感度定数を設定します。

定格

ひずみゲージ式変換器の検査成績書の値に従って定格容量と定格出力を設定します。

(U8554、LR8534 ひずみユニットを使用時に選択可能)

パルスの積算測定では、変換方法を選択できません。

積算測定時のスケーリング設定

3 (スケーリングの変換方法で[変換比]を選択したとき)

[傾き][オフセット]を入力する

数値入力の項目を選択し、ENTERキーを押すと、数値設定のウインドウが表示されます。

取扱説明書 詳細編「1.1 基本的な操作をする『数値の入力方法』」

-9.9999e+09+9.9999e+09

設定例

分圧比1/100の差動プローブを使用して測定し、波形データを単位(V)で表した値を表示する

単位

V

傾き

100

オフセット

0

4 [単位]に換算後の単位を入力する(半角7文字まで)

取扱説明書 詳細編「1.1 基本的な操作をする『文字の入力方法』」

5 (スケーリングの変換方法で[2点]を選択したとき)

[変換1][変換2]に、それぞれ変換前と変換後の値を入力する

数値入力の項目を選択し、ENTERキーを押すと、数値設定のウインドウが表示されます。

-9.9999e+29+9.9999e+29

設定例

センサーの4-20 mAの出力を、0 mm ~ 100 mmに変換します。

4-20 mAは250 Ωのシャント抵抗を用いて1 V ~ 5 Vで測定します。

1 V ~ 5 Vを0 mm ~ 100 mmに変換します。

単位

mm

変換1

1 → 0(1 V → 0 mm)

変換2

5 → 100(5 V → 100 mm)

6 (スケーリングの変換方法で[感度]を選択したとき)

[感度]に感度の値を入力する

数値入力の項目を選択し、ENTERキーを押すと、数値設定のウインドウが表示されます。

-1.0000e+09+1.0000e+09

設定例

感度定数 0.02421 mV/W・m-2 の熱流センサーを使用して測定し、波形データを単位(W/m2)で表した値を表示する

単位

W/m2

感度

0.02421 m(24.21 μと表示されます)

オフセット

0

7 (スケーリングの変換方法で[定格]を選択したとき)

(U8554、LR8534 ひずみユニットを使用時に選択可能)

[定格容量][定格出力]を入力する

ひずみゲージ式変換器の検査成績書に記載された定格容量と定格出力*1(μV/V)を入力します。

単位には定格容量の単位を入力します。

数値入力の項目を選択し、ENTERキーを押すと、数値設定のウインドウが表示されます。

+1.0000e−09+9.9999e+09

定格容量

が9.9999E+9以下となるように設定してください。

2 × 定格出力

定格容量と定格出力については、使用するひずみゲージ式変換器の検査成績書をご覧ください。

  1. *1

    検査成績書には、定格出力の単位が「μV/V」と「×10-6 ひずみ(μ ε)」の両方記載されている場合があります。

    その場合は、「μV/V」の値を入力してください。

設定例

定格容量 20 G、定格出力 1000 μV/Vの加速度センサーで測定結果を単位(G)の値で表示したいとき

単位

G

定格容量

20

定格出力

1000(1kと表示されます)

一覧設定画面[スケーリング]でも、設定ができます。

取扱説明書 詳細編「1.9 チャネル一覧で設定する」

 

  • 表示(上下限値)の設定

    スケーリング機能を使用するときは、スケーリングの設定をしてから、上下限値を設定してください。

    取扱説明書 詳細編「1.6 波形表示の設定をする『上下限値で設定』」

  • 表示桁数の設定

    スケーリング機能を使用時は、表示桁数を設定できます。(初期設定は小数点以下3桁)

    取扱説明書 詳細編「1.6 波形表示の設定をする『縦軸の表示設定』」

  • スケーリング変換前の波形を確認

    バイナリー形式で波形データを保存すると、スケーリング変換前の波形とスケーリングの設定が記録されます。波形データを読み込むと、スケーリング変換後の波形が表示されます。スケーリングをOFFに設定すると、変換前の波形を表示できます。

積算測定時のスケーリング設定

スケーリング機能を使うと、積算したパルス数を測定対象の物理量(Wh、VA など)に換算して表示や記録ができます。

パルス出力の機器は1パルス当たりの物理量や1基本単位(例:1 kWh、1リットル、1 m3)当たりのパルス数が定められています。

 

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1 スケーリングの表示方法を選択する

OFF

スケーリングを使用しません。

小数

換算値を小数で表示します。

指数

換算値を指数で表示します。

2 換算後の単位を入力する(半角7文字まで)

取扱説明書 詳細編「1.1 基本的な操作をする『文字の入力方法』」

3 1パルス当たりの物理量か、1基本単位当たりのパルス数(例:1c = 1パルス)を入力する

数値入力の項目を選択し、ENTERキーを押すと、数値設定のウインドウが表示されます。

1パルス当たりの物理量の設定と1基本単位当たりのパルス数の設定は連動しています。

 

設定例

50,000パルス/kWhの電力量計を接続して積算するとき

スケーリング

小数

単位

kWh

1 kWh

50000(1 kWh当たりのパルス数)

10リットル/パルスの流量計を接続して積算するとき

スケーリング

小数

単位

L

1 パルス

10 [1 パルス当たりの流量(リットル数)]

U8556, LR8536 電流モジュールのスケーリング設定

スケーリング機能を使うと、測定した電流値を単相2線の電力値に変換して測定できます。

電圧がV、力率がλ の場合、電力値 W = V × λ × 電流値

 

1 スケーリングの表示方法で[小数]または[指数]を選択する

2 スケーリングの変換方法で[変換比]を選択する

3 [電力]ENTERキーを押す

電力スケーリング画面が表示されます。

4 [入力]に電圧V、[力率]に力率λ の値を入力する

 

設定例

電圧100 V、力率 80%の場合

入力

100

力率

0.8

5 [OK]ENTERキーを押す

傾き、オフセット、および単位(W)が自動で設定されます。

U8554, LR8534 ひずみユニットのスケーリング設定

ひずみゲージ式変換器

使用するひずみゲージ式変換器の検査成績書に記載されている値に従って、物理量に換算します。

校正係数*1を使用する方法と、定格容量と定格出力を使用する方法があります。両方記載されている場合は、どちらの方法でも設定できます。

校正係数が記載されている場合

設定例

校正係数 0.001442G /1 × 10-6 ひずみ*2の加速度センサーを使用して測定し、波形データを単位(G)で表した値を表示する

スケーリング

小数

変換方法

変換比

単位

G

傾き

0.001442(1.442 mと表示されます)

オフセット

0

  1. *1

    検査成績書には、校正係数の単位が「/1μV/V」と「/1×10-6 ひずみ」の両方記載されている場合があります。

    その場合は、「/1×10-6 ひずみ」の値を入力してください。

  2. *2

    10-6 ひずみ = μ ε

定格容量と定格出力が記載されている場合

(スケーリングの変換方法で[定格]を選択したとき)

ひずみゲージ

ひずみゲージを使用する場合、測定値を応力に変換するときは、次の補正をしてスケーリングの変換比を求めてください。

  • ひずみゲージの組み方による出力の補正

  • 測定対象のヤング率やポアソン比を用いた補正

 

必要に応じて、次の補正も行ってください。

  • 配線抵抗の補正

  • ゲージ率の補正

 

取扱説明書 詳細編「11.2 ひずみを計測する」